記録。

めも。

EMの役割を自分なりに定義してみる(前編)

この記事は Engineering Manager Advent Calendar 2023の21日目の記事です!

はじめまして、yokishavaといいます。 EMというロールをはじめて1年が経とうとしています。

このポストではEMの役割というものを自分なりに言語化してみようと思います。 背景としては、EMとして取り組んでいることに対して、以前「どこに向かっているんだっけ。。?」「この取り組みはどこに作用させようとしているんだっけ?」とわたしが疑問を思ったことがあったからです。 マネジメントに関する本を読んで、私自身EMの役割を理解しているつもりではありましたが、それがいつの間にか自身の中から忘れられてしまっていることに気が付きました。 自分なりに言語化すること、このブログに残すことで、今後同じようなことが発生したときも立ち戻れるようにしたいと考えています。

補足

EMといっても各社で求められる役割や取り組んでいる内容は異なるかと思います。 わたしは、あるプロダクトチームに所属してEMというロールを全うしているというよりは、各プロダクトチームを横断して、エンジニアがパフォーマンスを最大化し続けられるようにすることを目指しています。 実際にわたしは、下記のようなことに取り組んでいて、様々あるマネジメント領域でもピープルマネジメントの比重が大きいと認識しています。

  • エンジニア採用(予算計画やダイレクトスカウト、面談...etc)
  • エンジニア向けの人事制度の作成と運用
  • 目標設定の導入や推進
  • 1on1の実施 など(ちょっと人事っぽいですね。)

※ピープルマネジメントに偏った取り組みを日々行っているため、読者の方によってはこれから書かれている内容に漏れがあると思うかもしれません。 ※自身のことを初心者EMだと認識しています。これから書かれている内容に対してベテランEMの方は「ここが見えてないぞ」と思うかもしれません。読んだ後にアドバイスをいただけるととても喜びます。

EMの役割とは

先に結論から書いていこうと思います。私にとってのEMの役割とはこちらになります。

「エンジニア組織がパフォーマンスを最大化し続けられるようにすること」

この言葉にした理由を今回は書いていきます。 この言葉は裏を返すと、最大化し続けることを揺るがす何かがあります。 その何かは変化であり、大きく2つの変化に分けることができるとわたしは思っています。

1つは人の変化です。環境など目の前のことをどう解釈するかで個人のパフォーマンスは変わってくると考えています。 2つ目は、事業や組織の変化です。プロダクトは成長すればフェーズが当然変わってきますし、それに応じて人が増えたり、チームの状況も少しずつ変わってきます。それらの要因を見極めながら対応しなければパフォーマンスはたちまち変わってきてしまうと思います。

今回のポストでは前編として1つ目の人の変化について書いて、後編で2つ目の事業や組織の変化について書こうと思います。

人の変化について

1人のパフォーマンスは今置かれている状況と自己実現欲求のつながりの解釈によって変化する

時間軸は人それぞれ異なるにせよ個人は、「これをやりたい」「こうなりたい」などと何かしらの欲求を持っています。 所属している会社で、今会社で個人が取り組んでいることとその欲求が一致していたらそれはモチベーション*1ややる気など上がるかと思います。もしくは夢中になって取り組むことができる人もいるでしょう。それはとてもパフォーマンスが発揮されやすい状態になります。 しかし、そうではない場合どうでしょうか? 個人の欲求と全く一致しないようなことを取り組んでいるとしたら、モチベーションは下がり、パフォーマンスが発揮されにくい状況になってしまうのではないでしょうか?

個人が置かれている状況をどう解釈するかで感情が揺さぶられ、パフォーマンスに影響を及ぼしてしまいます。

「じゃあその人がやりたいことをやらせてあげよう」「その人がやりたいお仕事を提供してあげよう」と言いたいわけではありません。(そのようなケースがあるとは思いますが。。)

もしかしたら、マネージャーがしっかり期待を伝えていない、伝えていたとしてもそれを理解していなかったのかもしれません。 個人がどんなことをやりたいのかマネージャーは理解していたつもりですが、もう少し深ぼってみると理解が異なっていたかもしれません。 まずは対話することによってどこに原因があるのか探ることから始めるのがいいのではと考えています。

ジョハリの窓を参考に「自身が知っていて相手が知らない」「自身が知らなくて相手が知っている」これら2つの領域に存在しているものを把握し、「自身も相手も知っている」という領域を大きくしていくことで相互理解*2*3が深まり、パフォーマンスが発揮しやすい心理的な状況を生み出しやすくなります。

「あなたはまだ見えてないかもしれないけどxxxという強みがあるからやってみては?」「中長期的にxxxというようになりたいならば、yyyというのは実はこうつながっているよ」「xxxという取り組みはyyyという意義があるよ」などのコミュニケーションをマネージャーはできるようになり、個人が「やりたいこと」と会社が「期待していること・やってほしいこと」2つの重なりを大きくできるようになります。

どう解釈するかは個人が悩んだり、考えたりする中で変化させることはもちろんできると思っていますが、第三者との対話を通して見えていなかったことを理解することがより効果的であると考えています。 対話などを通して、目の前の状況に対して個人がいい解釈を行えるように支援して、個人がパフォーマンスを発揮しやすいような状況に持っていくことがEMの役割の1つだと考えています。

1人の持っている能力は変化する

モチベーションに関連のありそうな問題を解決することができたとしてもそれではまだ足りないと思っています。 能力に焦点をあてていないからです。 個人がパフォーマンスを出すために足りてない能力があれば、それを習得しようとします。 個人がパフォーマンスを出すための能力をすでに持っていたとしても新しいチャレンジをしてパフォーマンスを出せるようにするために、足りてない能力を習得しようとします。 能力はチャレンジを伴う取り組みと時間の経過とともに蓄積されていきます。 その能力を発揮することができたとき、会社にとっての成果にも結びつき、活躍したという状態になります。

個人が能力を獲得する・発揮できるようにし、なるべく早く「活躍している」という状態に持っていき、そのサイクルをできる限り続けられるようにすることもEMとしての役割の1つだと考えています。

ある組織に所属するという文脈で人にはライフサイクルが存在しているとわたしは考えています。

入社して、チャレンジをして成長を通して活躍していき、チャレンジ〜成長〜活躍が繰り返され、もしかしたらいつか退社という状態に行き着きます。 このライフサイクルを考えながら現状どの状態にいてどうしたら次の状態に移行できるのか考えています。 観察などを通して「活躍している」という状態に持っていくためにはどこがボトルネックになっているのか?という問いかけてみます。

  • 能力が足りていないのか?
  • 能力を発揮する方向性を間違えてしまっているのか?
  • 今のチーム状態ならば、チームとして足りてない機能はAではなくBという能力ではないのか?
  • 能力を発揮する状態までに至っていないのか?

例えば、新しく入社した方が技術的には十分な能力を持っていたとしても、新しい事業ドメインの理解に苦しみ能力を十分に発揮することができていないかもしれません。新しく入社した方が新しい事業ドメインを理解できるようにオンボーディングを改善したりするなどが考えられるかもしれません。

ライフサイクルの図にあるようにいかに「活躍」という状態に持っていくか、さらなる成長のために次にチャレンジする機会や場を創り、「活躍」のサイクルを繰り返し回せるようにするかということもEMとして重要な役割だと思っています。

前編のまとめ

自分なりに定義したEMの役割に対しての理由を書いてみました。 EMは1人の人物を俯瞰的に見ることが求められるのだと、私は書きながら改めて思いました。 後編はEMの役割の理由について事業や組織の変化という観点から書いていきたいと思います。(役割に「し続ける」という表現を用いたのも後編で書くことになりそうです)

それでは明日のブログもお楽しみに!

*1:モチベーションで仕事をするなという意見もあると思いますが今回は触れません。

*2:言われたことを受け入れてみる姿勢を持っていることも前提として必要と思ってます。

*3:前提として信頼関係の構築も必要と思ってます。